受けについて

先日指導時に受けについて説明することがあったので、一度書いてみようと思いました。

合気道の受けには様々な形があります。片手持ち、両手持ち、諸手持ち、交差持ち、正面打ち、横面打ち、上段突き、中段突きなど。これら一つ一つの動作に関しても巧拙があります。

例えば持ちに関して言えば、受けではなく仕手のつもりで片手や両手を取る場合、相手を持った瞬間(触れた瞬間というより掌握した瞬間でしょうか)に相手を崩すように身体を使わなければなりません。その為には仕手でもたせる際に注意していることを受けで持つ際にも注意する必要があります。(仕手の際に肘や肩に余計な力みがあるといわれている人は、受けの時も同様のことが言える場合が多いと思います。)

また打ちに関して言えば、例えば胸倉を掴んできた相手を手刀にて切り落とす動きの際に脇・肘を締めて肩から先の余計な力を抜くというような注意をしているとしたら、それは受けの際に正面打ちや横面打ちにおいて同じ注意ができるはずです。

仕手の際に漫然と仕手を行っていても成長しにくいのと同様に受けの際も漫然と行っていては成長しにくいものだと思います。

また以降は指導を行えるレベル(2級以上)に関してよく見られる傾向なので記載します。

上級者が全力で相手に打ち込んだり、全力で掴みにいくと低級者は型通りに技をかけることは基本的にはできないので練習にならなくなります。しかしだからといって例えば7割りぐらいの力しか出さないということを続けていると、そのうち出したくても7割の力しか出せなくなります。

私の場合を申しますと全力が出せる間合いや体を維持しつつ、片手持ちの場合なら相手を掌握する瞬間に相手の腰の力に合わせて手加減する・正面打ちの場合なら意識して起こりを見やすくするとか当たった瞬間に威力を調整するなどを行っています。また自分と比べて型通りに動けていない方に対しては少しでも正しい型どおりに動けるように手助けする方向性を示した受けをするよう心がけております。そのような方向性を受けを通じて全て伝えきれるのが最良だとは思うのですが足りない部分が生じるため口頭にて説明を補足することが多々あります。そしてがんさんなど一部の自分より格上の方や同等以上の相手に対しては当てるつもりで打ちにいく・崩すつもりで持ちにいくという練習をさせていただいています。(自分に気が入りきっておらず全力を出し切れていないことも多々ありますが。)

正面打ちの際に起こりを見易くすると書きましたように、攻撃というものは威力や重さと同じかそれ以上に如何に相手に気づかれずに実施するかということが大事ですので相手に反応されないように持ちにいく・相手に起こりをとらえられないように打ちにいくということを意識することが大事だと思います。そしてこれは意識して練習しない限りは身につかないのではないかとも思っています。

起こりを見にくくするということは仕手のときも大事なことであり、仕手のときも受けのときも注意点は似たようなものですのでこれまた仕手の際の上達につながります。

 このように受けは仕手と同じくらい大事だと私は考えています。

ちなみに初心者は技の流れがわかっていない場合が多いため、思い通りに技がかからないことがあるかと思います。しかしこういった場合にこそ自分の合気・呼吸の力が試される時だと思いますので白帯の子供相手こそ一番の練習相手と考え、丁寧な技を気をつけることで他武道経験者とも合気・呼吸を合わせることができるようになることにつながると思います。

「受けについて」への4件のフィードバック

  1. 仕手の技術向上のための受け、、、
    私の場合、正面打ち入り身投げの際、軸がズレているのと、
    相手を振り回してしまうため、遠心力で相手が遠のいてしまう
    場合が多い中、受けの方が崩れる方向を意識的に誘導して
    もらう事があり、正しい方向を見出すことが出来る時があります。
    (大変ありがたい^^)
    そのイメージを大切にして、自分が相手を制御してその崩しが
    出来るようになると良いのですが、なかなか、、、

    自分が受けをする際は、「持ち」に行くときも、「打ち込み」をする時も
    真剣に相手に負荷をかけるつもりでやっています。
    (もちろん、加減はしているつもりです^^)
    合気道の場合、申し合わせの稽古がほとんどなので、なれ合いに
    なってしまいがちです。
    手を取るときは、だだ手を取るだけではなく、引っ張る、押し込む、
    打ち込みや突きの際も中途半歩ではなく、打ち抜くつもりでやるなど
    こちらの意図(攻撃)を具体的(大げさに)した方が良いのではないかと
    思ってやっています。
    私のその体の動きに合わせて技が決まった時の、、、「そうなの~~~」と
    崩れていく感じがたまらなく好きで、がん先生などには、いつもお願い
    している次第です。(面倒臭くて済みません^^)

    >仕手の際に肘や肩に余計な力みがあるといわれている人は、
    受けの時も同様のことが言える場合が多いと思います。
    →ドンピシャ!!私に当てはまっています。
    しかし、受け側は何らかの力が入っていないと、仕手の方も
    それを感じることが出来なくなってしまわないでしょうか?
    (ちょっと解釈を間違えているかも)

  2. おっしゃるとおりですが、感じれないというよりも感じにくくなります。ですのでより身体が出来上がった方が全力で受けると低級者は崩しどころを感じ取れず中々技に入れないと思います。
    なので低級者相手には基本的には意図を具体的にしたほうが良いと思います。しかしわかりやすい受けばかりですと感覚を磨く機会を失う可能性もあります。なのでたまには意図を感じ取られにくい(方向性はしっかりしているが臍や丹田から力が出ているためわかりにくい)受けをしてあげることで低級者が感覚を磨かざるおえない状況にしてあげることも必要かと思います。

  3. ちなみに力は入ります。ただその力を時も場所も一点に集中するがポイントでしょうね。相手を掌握する瞬間だけ固まるのか、相手に手が触れた時点から既に固まっているかは大きく違いますし仕手にとっては後者のほうが崩しやすいでしょう。また相手の丹田のみに効かせるつもりで持つのか腕・肘・肩で耐えられるように持つのかでも違いはあります。毎回気をつける必要までは無いにせよ、たまに気をつけているとそういう技術もおのずと身につくと思います。

    1. 詳細にわたりご教授いただき有難うございました。
      小生、まだまだ感覚が鈍く、握られても何も感じない?ため
      (年齢のせいで?知覚が鈍化してきている?)
      なかなか「これだっ!」という感覚を得たことがありませんが、
      鈍化している知覚細胞を呼び覚ましてみたいと思います。

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