柔らかいモーメントと偶力

最近T君がはまっている稽古。

相手との繋がりが途切れないように相手を誘導して投げるとというものですが、少しまとめてみようかなと思います。
多分訳が分からない文になると思いますが、T君以外のどなたかコメントをいただければ幸いです。
Noriさんの名前も出てくるのでよろしくお願いいたします。m(__)m

最初の接触の瞬間に一番気をつけたいと思っていることは、受けの力の方向と自分の力の方向のベクトルです。
人間の身体は身体の中心軸に末端部である腕が接続している構造をしているので、受けが力をかけてきた場合(垂直方向については別として)水平方向についてはモーメントとして考えることができると思います。
合気道における動きの基本は円運動なので、最初の瞬間に相手の力が回転方向に変換されない力のぶつかり方、すなわち自分の末端と中心軸を結ぶ線分=腕の方向にベクトルが衝突すると、唯一の例外として受けの力は回転方向に変換されず直接自分の中心に向かってくることになります。
とはいえ、これは全円周角において360分の1の確率程度でした起こらないことなので(ただし程度の問題で実際には上記の方向でぶつかる場合+ー15度くらいは動かなくなってしまう気がする)、実際にはまずありえないのですが、意外とこの方向に力がぶつかってしまう人は多いと感じます。
特に体幹の中心から外部に向かって力を意識していくNoriさんのようなタイプは、自分の力が一番出しやすい方向を模索した結果、例外的方向に力が衝突することは多いのではないかと思います。

さて、この線を外した場合受けの加えた力は直線から回転方向に変換されるわけですが、その力をどのように処理するかが次の課題です。

ここで一番イメージしやすいのは偶力を考えることだと思います。とはいえ、偶力自体は本来中心点に対して反対方向に加えられた2力の問題なので、現時点で受けのみが力をかけている場面とは厳密に言えば状況が異なります。合気道の場合、受けがかけた力をF1とすると(未だ加えられていない=自分がかけていない)偶力になる力F2をイメージします。
このF2の力を感覚的に探り取って偶力となる方向に力をかければ、受けは自ら望む方向に力をかけ続けながらその力が相手に伝わらない状態に陥ります。これを自分の視点で見れば相手とぶつかる力を使わずに相手の力をいなすことができるわけです。
と、ここまで簡単に考えてみましたが、実は偶力を用いようとした場合最も困難な問題が「中心点の設定」だと思います。自分の手首を相手が握ってモーメントの力F1が働いている場合、中心点として最も明快な点は自らの中心軸です。ただし自らの中心軸を中心点とした場合偶力になる力F2は反対の手や腕の位置から加えることになります。それでいいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、今掴まれている手と異なり何もされていない手は力をかける対象物がないのですから端的に「押す」という動作はできません。となると使える力は遠心力ということになるわけですが、遠心力で受けの押してくる力と釣り合いをとろうと思うとよほど速い回転速度で大きな遠心力を得るか、F2の位置を中心軸から遠くするようにしなければなりません。そうなると必然的に回転の半径は大きくならざるを得ないと思います。
時々T君がとても大きな転換や回転運動で技をかけているのはこの現象ではないかと考えています。
つまり、身体の中心軸を中心点とする円運動による制御はかなり困難だと思われます。

では他にはどんな方法があるかと言えば、相手の掴んでいる点と自分の身体の中心軸の間に中心点をつくることです。これは非常にコンパクトに身体を使うことができるのと同時に相手を小さな動きで誘導することができて私は好きです。
ただし、こちらはこちらで非常に難しい点があります。先ほどの身体の中心軸を中心点とする考え方は、稽古を続けている人なら誰でも無意識におこなうことができる動きです。しかし、自分の身体の中心軸以外に、さらには自分の身体の体幹の外側に中心点を設定してその中心点に対して偶力F2を働かせることはかなり意識が重要になります。身体の外に点を設定する意識は、いつも稽古の時に意識する空間上に手や身体の一部を固定する意識と同じだと思います。そこに意識上の中心点が存在することを意識しながら反対側に力をかけるようにするのです。
次に力のかけかたですが、私自身は(未熟さもあるので)やはり力といって一番有益なのは体幹全体を使って腹から押し出す力だと思っています。この力は身体の末端である手の力に比べてはるかに大きいので、F1F2 しかも圧倒的という関係が成り立ちます。そのため、仮想の中心点と二つの力の距離関係については中心点からF2の距離の方がかなり短くても大丈夫だということになります。
私自身は十分に体幹の力をのせられると感じる場合は、今述べた距離の比がかなり偏った点を中心点として設定します。具体的には握られた手首のすぐ横当たりをイメージして動くようにしています。

実際には手首を掴まれて押し込まれた際に、掴まれた手首のすぐ横を中心点=不動点として意識し、偶力の関係になるように相手の負荷に相当する力で転換を行い相手の力を流します。そして力が流し終えた終点(ここでいう終点は自分が出したF2仕事量と受けのF1仕事量の和が等しくなった地点)で自分自身の力を相手の力の作用線(F1の方向)に負荷として加える感覚でおこなっています。いかがでししょうか。
とはいえ、こんな風に理屈で考えることを身体で体得しないといけないのが一番難しいんですけどね(笑)。
とりあえず理屈を理屈っぽく考えてみるってことで。

あ、すごく長くなっちゃった。

「柔らかいモーメントと偶力」への2件のフィードバック

  1. 私の場合、、、
    身体の中心軸を中心点とせず、「空間上に手や身体の一部を固定する意識」は理解できるのですが、そこから力を加えていく際に、固定されるべき点がズレてしまう。
    さらに、相手の力(F1)や動きに対して必要以上の力(F2)をかけてしまって繋がりが切れてしまいます。(柔らかくないモーメント?)
    これは、相手が大きく力が強いと脳内で判断した場合、身体が勝手に反応してしまう様です。
    何事にも動じず、どんな場合でも冷静に対処できる「脳の鍛錬」が必要かもしれません^^

    理解力、順応力が劣っているため、今まで様々な方からご指導いただいた「脱力」の意味が少しわかってきたように思います。
    私の現状では、相手との繋がりが切れずに独りよがりにならず冷静に動ける事に留意して稽古していこうと思います。
    はてさて、、、出来るかな^^

  2. 難しいですね〜。
    私は、物理モデルだけで「結び」を理論化出来なかったので、生体反射のモデルと併用して、理論化しています。
    繋がりを継続するという意識ではなく、繋がりそのものの解析から理解をしました。
    最近、また理論化の要素が生まれて作り直ししています。
    キリがありませんね。

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