今回は相対速度について考えてみたいと思います。
相対速度とは単純に考えれば自分と相手の速度の比です。
例えば自分の速度が秒速3mで、相手の速度が秒速2mだとします。
二人がこの速度で同じ方向に動けば、自分から見た相手の速度は秒速1mに見えます。
二人がこの速度で反対に動けば、自分から見た相手の速度は秒速5mに見えます。
ここまでは、比較的考えやすいのですが、実はこの理論だけでは相手を制することはできません。
というのは、相手を制するためには絶対的に相手より先の場所にいなければ(あるいは先に動いていなければ)いけません。
とすれば、結局は相手より早い速度で動かなければならないという結論になります。
しかし、それができないから剛術をあきらめたのですから、この理論「だけ」では相手に先んずることはできません。
そこで、どうしたら自分より速い者より遅く動きながら、早く制することができるか考えなければなりません。
ここから先が柔術での相対速度だと思います。
柔術における相対速度は「相手を制している」という結果から逆算することで導き出される動きの理論だと思うわけです。