通り魔事件と武道

先日犯人が逮捕された三重県朝日町の殺人事件や柏の通り魔事件は本当に恐ろし事件だと思います。
もちろんそれ以外の事件や交通事故も恐ろしいものなのですが、こうした犯罪は自分に全く身に覚えのないことについて、見知らぬ相手(自分からすればただ道を歩いていてすれ違った人)から降りかかってくる災難です。
交通事故であれば、車の多少や交通状況などを考慮して事故に遭う確率を減らすことができると思います。
また、危険な場所にはガードレールなどの設備が施されていて、危険性を周知してくれます。
そのため、道を歩くときに四六時中車に対する緊張感を維持しながら歩く必要はありません。

しかし通り魔のような犯罪は、一旦自分が攻撃の対象となると、こちらがよけてもわざわざ追いかけてきて危害を加えられます。しかも、よく耳にする誘拐犯のように声をかけてくるという事前行動もなく、さらには「この人は危険です」という名札をつけて歩いているわけでもないので、「通り魔に遭遇しないように気をつけよう」するなら外を歩くときは絶えず緊張し、すべての見知らぬ人を疑ってかからなければなりません。
そんなことは不可能です。
それでも、親からすればかわいいわが子を恐ろしい事件から守りたいという気持ちはよりいっそう強いでしょう。

まずはっきり言って、日常の生活の中で「犯罪者」を見つけたり、防止する方法はないと思います。でも、それでもなんとかして少しでも危険を減らしたい。そこが難しいところです。
先だっての稽古で子ども達に「もし目の前に刃物を持った人がいたらどうする」と聞いたところ、全員が迷わず「逃げる!」と答えてくれました。
これは嬉しいことです。「俺の強さ」を誇示するのは蛮勇であって、身を守るためには危険を察知したら君子危うきに近寄らずだと思います。

こういうと、「じゃあいったいなんで合気道なんてやっているのか」と言われそうですが、
・武道をとして感覚を研ぎ澄ますこと
・武道という特殊な経験を積むことで、危険に対するセンサーを鋭敏にすること
・危険や攻撃に対する集中力を身に着けること
・最悪の状況下で動く身体を作ること
つまり、普段から「攻撃」に接することで、危険を察知する感性を高め、稽古で心身を鍛錬することでいざというときでも動く身体と精神を鍛える。その上で、攻撃の持つ危険性と破壊力を身に染みて理解して、間違いのない判断を下す。

私はそういう心と身体をつくることが子どもにとっての武道であると思います。
これからもみんなでしっかり稽古して、強い身体と心を作れるといいと思います。

きっと春にはまた新しい仲間も増えると思います。しっかり稽古しましょう!

 

「通り魔事件と武道」への2件のフィードバック

  1. 「逃げる!」=「勇気がない!」ととられがちですが、それは間違ってますよね。
    中には命と引きかえにしなければならない事もあるかもしれないですが、
    大抵の事であれば、最も大切な「命」を優先させるべきでしょうね。
    野口健さんの講演会で、エベレストの頂上を目前にした時の天候悪化、
    その時に下山する勇気について話をされていました。
    身に降りかかってくる危険とどう対峙(回避)するか、、、難しいです。

  2. 危険から身を守る効果的な方法ありまっせ!
    ここに書くと悪い奴見てるといけないんで今度内密にお教えしますー!!
    合気道の効用は上にがんさんの言う通りですね、
    とくに最悪の状況下で、、というところはそうですね。
    どんなときに危険が身に降り掛かるなんてわかんないっすから。
    空手とか柔道とかの大会に合わせてベストコンディションに
    もってくつうのは、なんかあべこべっすよね。

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