剣術に関して その1

体術に関しても同じですが、私は剣術が使えるようになる為には大きく分けて二つの柱を育てることが大事だと思っています。

一つは剣術の術理を覚えること。一つ一つの型はどのような理合で成り立っているのかを理解し、その理合をつきつめることが大事です。例えば裏太刀一本目なら、仕手の形、仕手のタイミング、剣の物打ちでの捉え所、捉えた後の攻め所などを押さえるのが基本でしょう。

また二つ目は剣を自在に操れること。剣をあるべき場所にあるべきタイミングで運べること、物打ちに力を集中させること、物打ちに集中したままで自由にあやつることなどが基本でしょう。言葉で書くと簡単に見えますが、体術で考えると非常に難しいことが想像していただけるかと。(体術の際、自分の腕・体を思い通りの位置に動かし思い通りの力を出すことと同じですから。)

これら二つは片方だけできていても弱く、双方をともに鍛える必要があります。正しい型稽古(基本太刀、裏太刀など)を、厳密に行えれば理屈上は術理だけで無く正しい剣の操作法も身につく筈ですが非常に厳しい道のりです。

というのも、正しい型通りに剣を動かすには動かせなければならない筋肉が多々あるのですが、初心者の方はそのほとんどの筋肉が日常では使わない筋肉であるため凝り固まっているため動かないからです(私も未だ動かないですが)。私のイメージできている限りでは肩甲骨周り、脊髄周り、腎臓の辺りなどがありますが他にもまだまだあると思います。なのではじめから厳密に行おうすると、ほとんど剣を振れません。

では剣を振れる身体を作るにはどのようなことをすべきかと考えたとき、まず通常の柔軟体操をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。通常の柔軟は呼吸に合わせて非常にゆっくり行うものと全体で練習前に行う体操の様にリズミカルに行うもの両者を実施することで柔らかい動きができる身体になると思います。前者だけだと稼働域は広いが動き出すとぎこちないし、後者だけだと稼働域が中々伸びないというふうに両者共に大事です。

剣術でも同様で、剣術に適した身体へ変化させるためには両者を必要とします。そして仕手受けが存在する剣術の型において後者は伸ばしやすいですが、前者(稼働域を広げる動き)を育てるには仕手受け両者に前者を育てることに対する高い意識が求められます。というのも、呼吸に合わせて行う柔軟がそうであるように、自分の剣術を行うために必要な様々な筋肉の稼動域を広げるには自分の呼吸に合わせてじっくり行う必要があります。そういう状態へ仕手を導いてやらないといけないことを考えると仕手以上に受け手に非常に高度なレベルが求められると思います。

そして私自身が受けをする場合は、そこまで高いレベルの受けはできるとは思わないので型稽古の中でその稽古を実施するよりも一人で素振りを行うことによって実施するほうが現実的ではないかと思います。ただしそういった受けが出来ないなりに、もし自身が受けの際に仕手のそういった能力(剣を自在に操れる能力)を伸ばすために気をつけることがあるとすると

1、しっかりと型稽古において、型だけでなく呼吸を見せてあげる。
2、自分が力(腕力に頼らない)の出し方に細心の注意を払う。

などがあげられ、これらを受けが注意することにより仕手をいい方向へ導くことが出来るのではないかと考えています。ただし人間一回の稽古で吸収できるものの数は限られているので、私が受けを行う場合、初めは型を覚えていただくことに専念するでしょう。

「剣術に関して その1」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください